お山の神さまとゆう太郎の約束

お山にね、神さまがいるんだって

そのお山の神さまとお話しが出来るんだよ

お山のてっぺんにいくとね

神さまからたくさん愛されるんだ

たくさん守ってもらえるんだよ

もん吉の話しを
目をキラキラさせて

登りたい!
連れて行ってよ!

もん吉の周りには
いつも楽しそうに
お山をスイスイ一緒に
登るお友達でいっぱいです

そんな姿をいつも
羨ましそうに
見ていたゆう太郎

ゆう太郎はお山が大好き

キラキラ太陽が
眩しくて木がゆらゆら
優しく笑ってる

木や草花の香りがする
気持ちいい風も大好き

心がすぅ〜って嬉しくなり
いっぱい元気をくれる

そんなお山に行くのが大好き

そしてお山の神さまは
ゆう太郎にもたくさん
話しかけてくれるのも
大好きでした

だけどそのお山は
とっても大きくて
てっぺんまで登るのは
とってもしんどいのです

そのお山をスイスイと
楽しそうに登っていく人たちを
羨ましそうにいつも思っていました

いつもお山のてっぺんまで
お友達をどんどん誘っていく
もち吉くんが言いました

ゆう太郎
お前もてっぺんまで登ればいいのに
何で登らないの!?

ちょっと冷たいいい方でいいました。

だって僕はしんどいの嫌い!
ここでいーんだもん!

ゆう太郎は拗ねた顔をしていいました

なーんだ 意気地なし!
登れないんだったら
お山の神さまに怒られるんだよ!

それにお山のてっぺんまで登ってないのに
お山の神さまと話せるなんて
ウソをつくんじゃないよ!

もち吉はプンプン怒った顔をして
お山のてっぺんへ走っていきました

僕だってお山のてっぺんに
行って神さまに褒めてもらうんだ

よぉ〜し!僕だって登れるぞ!!

ゆう太郎は一生懸命お山を登っていくと
何だか怖いきもちでいっぱいに
なってきました

大きな木がザアザア
曇り空で冷たい空気が
ゆう太郎の心まで不安に
させていったのです

いつも見ている景色じゃなくて
何だかおばけが出てきそうです

後から来た人はゆう太郎を
追い抜いてスイスイ登っていきます

ゆう太郎は負けるもんかと
下を向いて景色を見ないように
一生懸命登りました

お山のてっぺんにいって
神さまにいっぱい褒めらるために

だけど足が疲れて痛くなって
ゆう太郎はまた不安な心で
いっぱいになりました

そうだお山の神さまとお話しをしよう

ゆう太郎は神さま
怖いよ〜助けてよ〜
もう足が痛くて歩けないよ

あれ!いつも
話してくれる神さまの声が
聞こえないよ!

木々がザアザア大きくゆれて
冷たい風がふいているお山が怖くて
こられきれなくなったゆう太郎

やっぱりてっぺんまでいけない僕のこと
怒ってるんだ

お山の神さまは僕のこと
嫌いになっちゃったんだ

そう言って
お山のてっぺんにいくのを
諦めて途中で降りてきて
しまいました

それからゆう太郎は
しばらくお山に行くのを
辞めてしまいました

ある時

ゆう太郎くんお山に登ろうよ!

お友達の花子ちゃんが
誘いにやってきてくれました

やだよ。僕、お山のてっぺんまで
登れないからいかないよ

あら、そうなの

じゃ、行けるところまででいいじゃない

いつお山を降りてもいいんだから

花子ちゃんが優しい顔で
僕を見ていいました

え?お山はてっぺんまで
行かなくてもいいの?
お山の神さまが怒ってこない?

だって!この間いつも話してた
お山の神さまの声だって聞こえないんだもん

僕きっとお山の神さまに
嫌われちゃったんだよ

ふふふっ
花子ちゃんは笑って言いました

お山の神さまがそんな
ことで怒ったりしないよ

いつものように
ゆう太郎くんが大好きな
場所まで行ってみようよ

花子ちゃんの言葉で
ちょっとだけホッとした
ゆう太郎は久しぶりにお山に
行ってみました

そこには相変わらずお友達といっぱいの
もん吉の姿がありました

なんだ!ゆう太郎
また登れないのにきたんだ!

もん吉は少しバカにした
顔でゆう太郎にそう話しかけてきました

花子ちゃんが
ゆう太郎 もん吉くんの言ってる
こと気にしなくて大丈夫だよ

ほら、一緒にいきましょう!と
手をぎゅっと握って連れて
行ってくれました

今日はいい天気だね〜

きもちがいいね〜

キラキラ太陽が
眩しくて木がゆらゆら
優しく笑ってる

木や草花の清々しい香りがして
気持ちいい優しい風も大好き

小鳥さんの嬉しそうな歌声が
どこからともなく聞こえてくる

心がすぅ〜って嬉しくなり
いっぱい元気をくれる

あれ‥‥いつもと変わらないや

大好きなお山と一緒だね
ゆう太郎は花子ちゃんにいいました

そうでしょう お山の神さまは
誰が来たっていつだって同じように
優しく迎えてくれるんだよ

ゆう太郎は少しだけ
心がホッとしてゆっくり
歩いていきました

だけどやっぱり途中から
足が痛くて登れません

そこで花子ちゃんがいいました

大丈夫?無理しなくていいんだよ

ゆう太郎くんの大好きな場所で
ゆっくりお山を楽しんでいてね

私は私の大好きなところまで
行ってくるからそこで待っててね

花子ちゃんは優しい笑顔で
元気に手を振りお山の上へ上へ
と楽しそうに登って行きました

ゆう太郎は1人ぼっちになりました

だけど花子ちゃんの言葉で
少しだけ安心していたので
いつもの景色を楽しんでいました

するとお山の神さまの声が聞こえてきました

ゆう太郎は
ゆう太郎のままでいいのじゃよ

焦らなくていい
人と比べなくていい

そんな声が聞こえてきました

ゆう太郎の心がぽかぽか暖かく
なって嬉しくなりました

だけどお山の神さま
この間は僕が不安な時

話しかけたのに
答えてくれなかったじゃないか

きっと僕お山の神さまに
嫌われちゃったんじゃないかって
心配してたんだよ

お山の神さまがこんな映像を
ゆう太郎に見せてくれました

ゆう太郎
こないだお前が山に来た時の映像じゃよ

見てごらん

お前がわしに話しかけている時に

お前の両手はどこにある?

ゆう太郎は
映像を見てびっくりしました

両手で自分の両方の耳をぎゅっと抑えてる

そうじゃよ

わしはお前に話しかけておったが

お前が耳を塞いで 自分で
聞こえないようにしておったのじゃ

わかるか ゆう太郎よ

この山の木々も草花も
風も空気もお前が生まれる
何千年 何万年前から
何一つ変わってはおらんのじゃ

必要であればわしの声も誰にでも
聞こえるようになっておるのじゃ

だだしじゃ

信じる心

があればなんじゃよ

わしを信じようとするもの

自分自身を信じようとするもの

にしか

わしの声は届かないのじゃよ

お前は不安で心がいっぱいになり

わしのことも この自然の命も

お前自身のことも信じておらんかった

そうじゃろ?
違うか ゆう太郎

そう言われたゆう太郎は
あの日のことを思い出してみた

山の頂上に登ることしか考えず 
目をつぶり周りの景色を見ていなかった

もん吉を見返してやるぞ

僕だってもん吉のように

お山のてっぺんにスイスイ登り

お山の神さまに褒めてもらうんだ

そんなことばかり
考えていたのを思い出した

お山の神さまが優しい眼差しで

ゆう太郎を見て言いました

ゆう太郎よ
この景色を見てみよ

お前が好きなこの景色よ

キラキラ太陽が
眩しくて木がゆらゆら
優しく笑ってる

木や草花の清々しい香りがして
気持ちいい優しい風も大好き

小鳥さんの嬉しそうな歌声が
どこからともなく聞こえてくる

心がすぅ〜って嬉しくなり
いっぱい元気をくれる

この景色を見たい友達が
お前の周りにはたくさん
おるのじゃよ

頂上に登る人にならなくていい

人にはそれぞれお役目が
与えられ生まれてくるのじゃ

お役目?
お役目ってなんですか?

ゆう太郎は
なんのことかわからず
お山の神さまに聞きました

お役目とは
心から嬉しい 楽しいって
思うことをすること

心から喜べることを
していくことだ

必要ならば大切な人にも
教えてやることじゃよ

例えば

もん吉はお山の頂上に
登るのが大好き

頑張らなくても心から楽しい
って思っておるから
自然と人も寄ってくるじゃろ

損や得を考えず

自分も人も喜ぶ
喜びを一緒に分かち合うことじゃ

ゆう太郎
お前は頂上に登らなくても
こうして山の木々 草花
小鳥の歌声 清々しい風と
自然の豊かさ 命を感じる
こと に感謝してくれ

こうしてわしと話せる
ことを心から嬉しく思ってくれておる

お山のてっぺんに登ることではなく

こうした愛に溢れた自然 命を
感じさせてあげることが
お役目なんじゃよ

山は登りたいと思った時に
登ればいい

たくさんの見守らた愛は
どこにいたって感じる

登らなくても
決して責めたり
怒ったりなどしない

この山を愛し感謝するもの
不安や恐れを感じるなら
何度でも登りに来ればいい

ありがとう!お山の神さま
僕なんだか勇気の心がいっぱいで
嬉しくなってきたよ

ありがとう!ありがとう!

お山の神さまはにっこり微笑み
こう言いました

ゆう太郎その気持ちを
忘れるんじゃないぞ
約束じゃよ  

そう話していると
花子ちゃんが笑顔で手を振って
山から降りてきました

ゆう太郎く〜ん!

お待たせ!ゆっくり楽しめたかな?

私はとっても楽しかったよ!

花子ちゃんも
楽しめて良かったね!

ゆう太郎と花子ちゃんは
お山の帰り道を

今日あったお山での
楽しかったお話しを
たくさんたくさんしました

ゆう太郎は大切な
家族やお友達に大好きなお山の
話しをたくさんたくさん話しました

すると

実は、お山に登りたかっんだけど

お山のてっぺんまでいける不安で

今まで登れなかったの

ゆう太郎くんの話しを聞いて
登ってみたくなったよ

お山のてっぺんまで行けなくても
大丈夫?

本当にお山の神さまっているの?

こんど一緒に行ってくれるかな?

うん!うん!

一緒に行けるとこまで行こう!
うんとね!お山ってね!

ゆう太郎は嬉しくてしかたが
ありません

そんな噂が広がり
ゆう太郎くんの周りには

いつしかお山を楽しむ人たちで
いっぱいになりお山のてっぺんへ行
くのも好きになりました

ゆう太郎は
もん吉くんにもお山の神さまと
話したことを嬉しくて話しました

するともん吉くんは

たしかに‥お山のてっぺんに
いくことしか考えてなかったよ

そうだね!お山に登る時は
いつもありがとう!ってお山の神さまに
ご挨拶するようにするよ!

お山の景色を僕ももっと楽しんで
登るようにするよ!

お山の景色を空気を楽しむだけも
素敵だね!

今まではひどいこと言ってごめんよ
ゆう太郎

うん!いいよ!

ゆう太郎はとっても嬉しくなり
もん吉くんと仲良しになりましたとさ。

お山のてっぺんも素敵だね
お山の景色を楽しむのも素敵だね

頑張るのも
楽しむのも

どっちも素敵だね

おしまい。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

◎あとがき  

山に登ること

自分の目標に向かって
歩むことはとっても大事

道中はしんどいことだって
たくさんあります

山の木々 草花 香り 風
虫や小鳥のさえずりは
大自然の恵み 命です

ただありのままにある
大自然の命 恩恵を受けて
我々人間は暮らしています

何千年何万年とただそこに
存在してくれる変わらぬ大きな
大きな愛で見守られ私たちは
生きていることを山は教えてくれています

大きな愛で見守らた中で自分自身の
心と向き合い一歩一歩前へ進む勇気
や人の優しさに触れることを学びます

人と比べたり
焦ったりすることなく

自分の出来ることを
もっと愛すること

自分自身を生きること

自分自身を信じて生きること

そんなことを教えてくれるお山の神さま
とゆう太郎の物語です。

最後まで読んで下さりありがとうございました。
心から愛と感謝をこめて♡

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